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服ヲ掘ル

服ヲ掘ル

河原さんは、自分のことをデザイナーではなく、「パターン(型紙)を作る人間」と話します。

実際に服を着ていると、その言葉の意味が少し分かるような気がします。

見た目がどうこうというより、袖を通したときの収まりだったり、動いたときの生地の動きだったり。何気なく着ていると気づかないところに、服そのものを深く掘り下げてきた人だからこその工夫がある。

その背景には、ヴィンテージの服をただ眺めるのではなく、実際に解体して、その構造を一つひとつ調べていくような研究があります。

服の形だけではありません。タグや包装、使われている糸、細かなパーツに至るまで、「なぜこうなっているのか」を一つずつ掘っていく。過去の服をそのまま再現するのではなく、そこから得たものを今の服に置き換えていくのが、河原さんのものづくりなのだと思います。

イベントで行われてきたヴィンテージウェアの解体・標本展示も、その姿勢をよく表しています。

旧日本軍のジャケットやMA-1、A-2、N-3Bといったフライトジャケットを実際に解体し、普段は見ることのできない裏側まで含めて、一つひとつのパーツを並べていく。

完成した服だけを見ていると、服はどうしても「デザイン」として見えてしまいます。でも、一度こうしてバラバラになった姿を見ると、一着の服がどれだけ多くの判断や工夫の積み重ねでできているのかが分かる。

自分自身、こういう服は最初に見たときよりも、何度か着ているうちに好きになっていくことがあります。

朝、今日は少しちゃんとした服を着たいなと思った日に選んだり、長時間歩く日に着てみたり。そういう何気ない日に袖を通していると、「なるほど、ここまで考えて作っているんだな」と後から気づくことがある。

過去の服を懐かしむための復刻ではなく、長い時間をかけて集めたものを一度分解し、そこから今の服として組み直している。

だからこそ、ヴィンテージの知識がなくても、実際に着てみるとその違いが少しずつ分かってくる。そういうところに、この服を選ぶ面白さがあるのだと思います。

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