OPJ-007 R2.9 WOOL FLEES with CATHEDRAL

R2.9

近代ミリタリーの中でも特に人気の高いMARSのR2。
コストが高すぎた為か一部の特殊部隊にしか使用されていなかった希少なシリーズ。私にとっては長年買い逃していた最強のミッドレイヤーでもあります。しかし、近年のデッドストックの価格の高騰…私は自分で作成する事を決めました。今回の動機も完全に自分用です。ベースとなるのは2006年製のパタゴニアのM.A.R.SラインのR2です。

正式名称 MARS (MILITARY ADVANCED REGULATOR SYSTEM)
軽量でコンパクトに収納でき、動きを妨げない独特のパターンで、動的待機時最強のミッドレイヤーと言われています。
ポーラテック社製の表と裏で素材が異なるように起毛させいて、軽くて暖かいのは勿論、逆に適度に通気性が良く、汗が瞬時に乾く。体温を調節するのがミドルレイヤーの本来の仕事、汗を逃しながらも身体を保温する機能が求められ、動きやすさ、軽さも必要なファクターとされるのですが、R2はこの難題をパーフェクトにこなします。めっちゃ暖かいフリースが欲しいわけでな無い、今回は保温でななく調温性能、究極の中間着にプラスアルファーの要素を加える事で、R2に挑みます。ミッドレイヤー且つアウター。

ベースレイヤーのみならず、ネルシャツやミドルゲージニットが中にきれる、進化したミッドレイヤーがR2.9です。

尾州の宮田毛織

イギリスの「ハダースフィールド」、イタリアの「ビエラ」と並ぶ世界三代産地の一つ尾州。
そのスゴさを知らないのは日本人だけかもしれない。
例えば誰もが知る世界的なメゾンブランドも実は尾州の生地を使用しています。良い産地には良い水がある。
尾州には豊かな水質と水量を誇る「木曽川」があります。
毛織ものは生産工程が専門性が高く、各工程を担う工場が全て木曽川周辺に集合しているのは確実に強みとなっています。世界屈指の品質の秘密は地の利が背景にあります。その尾州でウールフリースと言えば真っ先に名前が上がるのが宮田毛織です。今回使用したのはウールベースの片面パイルフリースなんですが、非常に複雑な混率です。WOOL57%、POLYESTER28%、NILON14%、この混率は毛抜け、毛だま、伸び、速乾性のバランスをとった黄金比で、コストダウンのためだけではありません。裏面のニット編みはフラットで気心地がよく4方向によく伸びます。表の縮絨のパイルは暖かい空気を逃しにくい構造で、軽いオンスでも暖かく、表面積が多く速乾性にも優れています。なによりも見た目が素晴らしい。

目指したのはフリースの祖が持つ風合い。
クラシックな見た目は、他のOPJアイテムとの相性も良いはず、何よりウールが持つ本質的な気持ち良さを体感したい。機能を維持しつつ完璧なクラシックフリースを表現できていると思います。

ZAMZA®

裏地の前身頃に使用したのは蝶理株式会社の “ZAMZA®” というハイテク生地。原料加工から織り、編み、高次加工に至るまでの一貫したオペレーションにより生まれた世界最軽量の防水透湿素材です。15,000mmの防水透湿性、防風性に加えて高密度ポリエステル糸が潤滑性にも優れていて、このスペックでは世界最軽量。ダイビングのドライスーツのインナーに採用された素材です。要は外からの水濡れ、風による温度低下を防ぎ、中にこもった湿気のみを逃します、そして肌あたりが気持ちいいという物。総裏地のバージョンもテストしたが発汗に蒸散化が間に合わなかったので、前面のみの採用となりました。フロントからの水、風を止めるだけで中間着はまるで違う物へと進化します。都市部のミッドレイヤーとしては最適な組み合わせです。本来でれば会うはずの無いローテク繊維とハイテク繊維の出会いは、互いの基本性能を高めあいます。まさにMIX UP。
センドウとイッポのような関係です。

パーツをあえてクラシックなメタルファスナーを採用し全体の雰囲気をよりクラシックに、胸や脇も120Sウールフランネルを使用しました。ファスナーの持ち手はあえて安全靴の靴紐を採用。外観は天然素材にこだわり、完璧なオールドスタイルとなりました。

配色

配色は個人的に大好きな80’sの”NIKE ACG”の広告のイメージから。
ありそうで無い色同士の組み合わせは、独自の世界観を産みだします。配色は非常に悩みました、、1番時間をかけたかもしれません。
ACGは最も早位時期に都市部とフィールドを直結させたブランドだと思っています。街でもフィールドでも独特の存在感があり、良い感じで色が浮きますが、それが好きなのかもしれません。