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Chapter.1 WOOL T-SHIRTS with CATHEDRAL

Chapter.1 WOOL T-SHIRTS

OPUS JAPAN WOOL T

WOOL Tを超えるのは、やはりWOOL Tだけ

やはり最初は WOOL T から手をつけようと思いました。

自分用のヤツは着過ぎて限界を迎えました…
でも、自分が持っているTシャツの中では、今でも1番気持ち良い…

誰が何と言おうと捨てれない、パジャマとしてまだ着るつもりです。

今回の動機はOUTDOORブランドのシャリ感あるWOOLが肌に合わず、余り生地のEXTRA FINE MERINO WOOL で作ったTシャツがきっかけとなりました。
物作りは愛用していた物や経験した事から生まれる時が1番良いのが出来る事がほとんど。


DAY2 (End of June)

車中泊2日目。
霧雨、湿度80%、気温27度。
息苦しいほどの湿度、梅雨時期の琵琶湖は気温と水温のギャップから、深い霧が出ていて霧雨で視界20mくらいしかなく、曇天でTALEXの恩恵はほとんど感じない、視界真っ白な初夏の琵琶湖。

9時くらいかな、完全な寝坊。

水面に近付いたら生命感で溢れているのは直ぐに感じる事が出来た。人間には最悪だけど、魚には最高のコンディションっぽいな…

私は水だけ飲んで直ぐに出発の準備をした。

残り生地で作ったWOOL Tシャツをフィールドで着たのはその日が2日目、その時はまだ「気持ち良い素材だな」くらいの感想しかなかった。

最初の違和感は、前夜にキャンプ場の炊事場で洗った洗濯物の中で、車中干しにも関わらずWOOL Tだけが渇いていた。しかもサラサラでシワにもなってない。

他の綿系は完全な半乾き…

半乾きの靴下でシャロー広範囲に撃ちつつ、2km先の本命に時合いまで着くように要所だけをテンポよく探っていった。やはり昨日よりもコンディションが良さそう。

アイツはまだアソコにいるだろう…

一等地に固執していたあの個体、一投目で仕留めるイメージは完璧に仕上がっていた。

3/2の地点での一旦心を落ち着かせ、針とラインをチェック。太陽が少し顔を出してきた、まとわり付く湿気にシェルの内側が汗で湿っているのを感じる。
蒸し暑っ、多少濡れてもいいや。
サコッシュを下ろし、シェルをポケットに突っ込んだ。

一服しながら…なんか、体が軽いな。

いつもよりも体が軽い事に気付き体を触ったら、濡れているのはシェルの内側だけで、Tシャツはほとんど乾いていて身体もサラサラ、それに暑くも寒くも無い、熱を持った体をEXTRA FINE MERINO WOOLは温度と湿度をファジーに調整している。初めての感覚。

もうすぐ時合。

150m先には約束の場所。

マジか、誰や!?

先行者2名を目視、うち1名はヘルメットを被った2ラインジャージのヤンキー中学生、そして既に推定3.5kgのロクマルを捕獲していた。殺意と同時にローカルアングラーのレベルの高さに敬意を払いその場を後にした。

この日、感じたWOOLのパフォーマンスは主に5つ。
1. 水洗いで揉みまくり、タオルに挟んで絞ぼりましたが縮み無し、強度は十分。
2. 雨の日の約4.5時間の車内干しで乾ききる。
3. 体の熱を溜めず汗を吸湿し、速乾性はコットンの数倍。
4. 肌と心に優しい。
5. 3日目で洗剤無しの手洗いでも、嫌な匂いが出にくい。

この時感じたWOOLと言う素材の可能性は、私の今までの常識を変えるものでした。WOOLの性能をちゃんと理解する為に、様々なWOOLジャージを取り寄せすぐにリサーチを始めました。


WOOL Tの再考

WOOLとは、暖かく少しカシミアと比べると少しチクチクする冬の素材、大まかに言うとそんな認識でした。
リサーチして見えてきたのは、産地や製造元、加工や番手、捻りや編み方で大きく性能が異なり、狙いを変える事ができる唯一無二の天然素材だと言う事でした。

ちょうど季節が冬に変わる頃、国産のEXTRA FINE MERINO WOOLと出会い、2017年の冬頃、OPUS JANAP 初となるWOOL Tシャツをリリースする流れとなりました。
その後は毎年増産を繰り返しながら、年間定番として販売してきました。

2021春夏の OPUS JAPAN のリブランディングは、この完璧に見えるWOOL Tシャツを、ゼロベースから作り直す事を最初の仕事とします。まずはリプロダクトするにあたり、今回のテーマを決めることにしました。  

1. 年齢と性別を超える形を模索し、着てもらえる人を増やしたい。
2. 春夏と秋冬で形と素材を変え、更に季節に最適化させたい。
3. 価格を抑えたい。
4. 通販のお客様が生地を触れる。
5. OUTDOOR用では無く、あくまでも都会的である。

やりたい事はこの5つ。


OPUS JAPAN

まずはパターンの見直しから。肩を少しドロップさせ、肩の傾斜を強めにとり、どこに肩がきても落ち着くパターンに変更。倍くらいのサイズレンジを持たせ、適当に着る事を敢えて許しました。
単なるリラックスフィットでは無く、背中を大きく、前は小さく、体に馴染む立体を意識しました。


OPUS JAPAN
OPUS JAPAN
OPUS JAPAN
OPUS JAPAN
OPUS JAPAN
OPUS JAPAN
OPUS JAPAN
OPUS JAPAN
OPUS JAPAN
OPUS JAPAN

サイズは「SM」と「ML」という2サイズ展開としました。実験的な試みですが、春夏にタイトには着たく無いと言う意見も多く採用したアイデアです。
狙いは大小、男女、と言う区別以外にMサイズの人は両方着れると言う意味を持たせました。
体型にもよりますが170cm以上の人はコーディネートや気分で使い分ける事ができると思います。

着丈はベーシックですが、身幅、袖、はゆったりとし、肩は少しだけドロップしています。


OPUS JAPAN
OPUS JAPAN

素材を2種類用意しました。(絞り込めなかったのが本音)

<REDA社 Super120’s Wool> 
イタリアの老舗梳毛メーカーのウール天竺を使用。Super 120’sのニュージーランド産ノンミュールジングウール(ZQメリノ)を使用しており、動物愛護にも配慮したサスティナブルな素材。最高の原料がもたらす風合、ドレープ感、光沢感を併せ持ち、最高の肌あたりです。本来のウールが持つ吸湿速乾性は失っておらず、普段着だけではなくスポーツ・アウトドア時の過酷な状況下でも他の素材との違いを感じられます。現時点で120’sという糸はマシンウォシュに耐え得る強さと、究極の着心地を生み出す最適なバランスの素材だと思います。

<繊維商社 株)YAGI  YG11077 Super100’s Wool>
オーストラリア産Super 100’sウール天竺を使用し、日本のウール産地である尾州で編み立て、染色された素材です。日本人好みのモチっとした滑らかな仕上がりです。100’sですが着心地は120’sに決して劣らず、カシミアの様なタッチです。YG11077はREDAと比べるとほんの少し太い糸ということになりますが、特有の弾力と適度な厚みがあり、一枚で着用しても透けにくい素材。勿論120’s同様に本来のウールが持つ吸湿速乾性能は同等の物を持っています。120’sよりもヘビロテでデイリーに着たくなる、そんな素材です。


糸からオリジナルを作ることも考えたましたが、かけた時間と開発費はそのまま上代に反映されてしまうので、関わる人間をプロフェッショナルだけに絞り込み、できる事は全てチーム内で完結させ、卸売を行なわず直販する。シンプルな業態をとることで前回よりも上代を抑える事ができました。
過去のWOOL Tを越えれたかどうかは私が判断する事では無いです、皆さんに着てもらって判断して頂き、様々なご意見を頂けると幸いです。