yosuke ishikawa

SELECTIONS 2025.01.05

Concept “時間”　

作品は、素材そのものや色が染み込んでく中で様々な時間が出会い、紡がれ、織り込まれて一枚の布（時間）が生まれます。

私の興味は、その作品（時間）と手に取る誰かの時間がどのように溶け込んでいくのか。

様々な時間が、布に滲んでいきますように。

yosuke ishikawa

彼が初めて作品を見せてくれたとき、作品の説明以外にも彼のこれまでの人生で得た経験、その中での心の機微様々なことを伝えていただきました。
そして、このストールは彼自身を表現する抽象画のように私たちに語りかけてきました。

彼これまでの歩みを説明すると、大学卒業後、バックパッカーとして各地を旅した後、ホテル業に従事しました。

その後、コロナ禍をきっかけに現代人の新たな日常との向き合い方を模索するため、世界中の人々に幸福を与えるモノづくりし続けるデンマークへ留学。

留学中には、テキスタイルデザイナーである恩師のもとで手織りの技術を学びながら、モノづくりに対する深い思想や哲学を身につけました。

そして2023年日本に帰国をし、愛媛県西予市にて衰退する日本の養蚕業に携わりながら、これまでの経験を活かした新たな活動を展開しています。

カタリ、カタリ、と手織りのされる経糸一本一本には、遮るものが一切ない地平を端から端まで染め

夕日、足の裏から地球の脈動が伝わる土壌。

そんな彼が過ごした時間が地層のように深く、静かに紡ぎ込まれています。

一つひとつ丁寧に手織りされたこのストールは、軽やかな素材感と巻きやすいサイズ感が特徴で、上質な心地よさです。

デザインには埃や土、血、錆といった彼が見つめてきた風景やその独自の解釈が込められています、
彼の感受性そしてプロダクトに落とし込む技術力と、ヤクやラクダといった選び抜かれた希少な素材たちが融合することによって生まれた傑作たち。

唯一無二の存在感を放つストールは、ファッションを超えたアートピースとしても魅力的です。

作品番号　01

誰かと一緒に包まりたくなるような大きな布を作りたいと思い制作しました。

優しい色の中にも作家が染めた糸を織り込み、巻き方によって様々な表情が出るのを楽しんで頂きたいです。

作品番号　02

5年程前に豪雨によって大きな災害に見舞われた私の住む地域。そこに立ち入ることができなくなった森と以前その森と人を繋いでいた橋。そして橋に生い茂る青々しい苔。止まった時間の上に息づく自然。その時間の重なりが滲むように糸を染め織りあげました。

糸はダークネイビー、ダークブラウン、ダークグリーンをベースに地層のような表情が出る様に染め上げました。

作品番号　03

緯糸にはヤクの原毛をじっくり手で紡いだ手紡ぎ糸を織り合わせました。ベビーキャメル（赤茶色とキャメル）の手紡ぎもそっと忍ばせてます。

作品番号　04

もし遠い土地の草原に住むどこかの民族がいて、彼らが使い込む布はどんな表情をしているのだろう。経糸は赤や茶、黒をベースに８種類以上の色と一つの綛の中でも様々な色味がでるように染め上げました。

緯糸にはベビーキャメルの原毛をじっくり手で紡いだ手紡ぎ糸を織り合わせました。布の始まりと終わりにそっとヤクの手紡ぎを忍ばせ、ベビーカシミヤでしばらく織りあげベビーキャメルの部分を額縁に収めるような感覚でまとめました。経糸や緯糸にそっと手染め手紡ぎベビーキャメルを忍ばせてます。

No3.4は”赤”がテーマとなっています。
それは人の血液を表す色でもある。血には様々な記憶や感情が埋め込まれ、確かな時間が流れる。
その赤を土台に、遠い土地の草原で生活を営む人々が、飼い慣らす動物の毛を頂き、布にしたとき、どんな表情になるのだろうか。