COTTLE “SenkohSuiu” Order Exhibition

ORDERS 2021.08.04

CATHEDRALで初めての取り扱いとなるブランド「COTTLE（コトル）」。

今回のオーダー会では、ブランドの新作 “SenkoSuiu” における象徴的なファブリック「EARTH WALL」を中心とした発表と、”UNIFORM FOR LIVING” からピックアップされたアイテムを受注オーダーいただけます。

COTTLE

岡山県倉敷市児島。
COTTLEがアトリエを構えるこの場所は国産ジーンズ発祥の地であり、古くより繊維産業で栄え、街の中には様々な工場、糸屋、染色工場、加工場などがひしめきあっています。

そして、倉敷は民藝とゆかりがあり、日常生活の中で使うモノには、用途に直接結びついた美しさ「用の美」があるという考え方が街中や人々の生活に根付いた土地でもあります。

築130年を経た織物工場をリノベーションしたアトリエには、「自ら考えたものをまず自らが形にしたい」という想いからアトリエには洋服の縫製の為に集めた、様々なミシンや道具が並びます。

技術や思想を共有する、少数の職人で製品を仕立てています。
なにより、COTTLEが掲げる「ジャストインタイム」という受注生産方法は、大半の商品が注文を受けてからアトリエ製造を開始し、染色内容、縫製、手作業などを経て、一点一点仕立てられます。

必要な人のもとへ本当に必要な分だけを届ける。大量生産や不良在庫の廃棄等、従来のファッションビジネスの在り方が崩壊し、大きく時代や価値観が変化している現代のモノづくりにおいて、最も必要とされている取組みだと感じています。

SenkohSuiu

“EARTH WALL” COLLECTION

生地開発は素材の原料を選定する作業から始まります。

“EARTH WALL”はアトリエの玄関に凡そ130年前から鎮座している土壁からインスピレーションを受けています。
玄関をリノベーションしようとしたところ、もともと貼り付けられていた合板の下から地壁が現れ、その色や素材の肌感がもつなんとも言えない佇まいに惹かれて露出したままにしておくことにしました。

“SenkohSuiu”では、このような生活の中にあるハッとした出会いや美しさを視覚と触覚で表現し、工藝的な美術要素を取り入れる事でマテリアルとして具現化します。

生地織りは工業的な領域ではあるのですが、手工芸に近い偶然性や通常量産の機械では出来ない再現性の低いこと、安定しない要素を前向きに、根気強く取り入れる為に、試織機（ししょくき）と呼ばれる、開発用のみに使われる織機を使いました。

土壁の地層断面の色の移り変わりをイレギュラーな横縞で表しており、一度織ると柄を構成する為に必要なパンチング紙が耐久性の関係で使えなくなる為、何度も柄に合わせてその作業を繰り返します。

土壁はその名の通りその土地の土を主な材料としていますが、土を発酵させて壁に膨らみを持たせる為に藁や基礎の強度と耐久性を持たせる為に竹を使用したり、場合によっては砂や鉄粉を混ぜることで営みに最適化したものとして用いられてきました。

調湿、断熱、防火、脱臭機能があり、夏は涼しく、冬は優しい温かさを持続しやすい特徴があり、様々な季節が訪れる日本で最も快適に過ごせる壁として古来より重宝されてきました。

自然の素材だけで日本の四季に合わせて対応出来るように考えて作られた土壁は、日本のどの場所からも材料の産出が可能であったはずです。
これらの知恵を生地の素材配合や配色に活かしています。

獣毛色のままの無垢なカシミアとウールは保温性と通気性をもたらし、それらを一本の糸に拠る事で耐久性も持たせています。
有機紬ガラ紡糸は土壁の表面の質感や肌触りを再現するのに最適でした。　

コヨリながら糸にする事で不規則な糸線の強弱が生まれますし、ガラ紡の綿毛素材は保湿性にも優れています。
豊かな表情をそのままに、土壁色と漆喰色の自然色素を再現する為に、担子菌類のサルノコシカケから色調合わせを行いました。

土壁のようにお互いの役割を素材によって補い合うということが、この生地に用いたそれぞれの個性豊かな原料やたて糸とよこ糸のようであり”EARTH WALL”の根幹をなしています。