Now loading...

Now loading...

[IS] Isabella Stefanelli 20SS Vol.1

今季もIsabella Stefanelliのアイテムがイギリスより届けられました。
非常にポエティックな側面を持つ彼女の作る洋服は、絵画の様な楽しみ方もできる。
全3回に渡り、そこに込められた作り手からのメッセージを紐解きます。

第一回は20SSのメインコンセプト”in-coherence”について。
20ss Isabella Stefanelli のメインコンセプトについて探っていきます。


Isabella Stefanelli

Isabella Stefanelliの服は、絵画の様に楽しめる。

 そこに込められた作り手の思いは視覚的には勿論、非常にポエティックです。
他の服には無い、違う楽しみ方が出来るのも魅力の一つです。
 私はこれまで様々な視点で服を見てきましたが、殆どの場合が機能的アプローチや服飾史的アプローチ、環境配慮的アプローチ、また娯楽的アプローチなどの視点から考察できる服と言えます。それらと違う点は、Isabella Stefanelliの服は作り手のメッセージを表現するための技術や手法の塊であると言う事。糸、生地、テクニック等の服を構成している当たり前の要素の中に、深く彼女からのメッセージが練り込まれている。
例えば生地というの1つのファクターを構成している様々な要素の中に「恐ろしさ」や「優しさ」 を感じさせる作り手の「仕掛け」が込められていて、センシティブな人はそのメッセージを受け取る事ができる。つまり彼女は使いどころと使い方を本能的に知っていて、空間表現として立体的に受け手の五感に作用してしまうという事です。
Isabella Stefanelliを着こなす人とは、空間を支配する人なのかもしれない。


20SS Main Concept “in-coherence”

“in-coherence”

「理路整然としている・辻褄があっている」ことを意味する「coherence」。
そしてその反意語である「支離滅裂な状態」を表す「incoherence」という2つの言葉があります。

 今期のコンセプトはこの2つの言葉の関連性とも捉えることができます。
日々の暮らしの中で私たちは、人との関わりの中にある不条理や2面性、喜びや悲しみ、失望していながらそれが腑に落ちるというような相反する事実を受け入れていることに気付きます。矛盾していることや不自然なことを受け入れ、そこに向き合う時、人は皆、相対する事態や人によってそれぞれが持っている様々な一面を「個性」と呼ぶのではないでしょうか。

 つまり個人の中にある “coherence” の中に “incoherence” があること、またはそういった状態が自然なものであると彼女は捉えています。「in」は「内側に」という意味を持つ前置詞。だからこそ彼女はコレクションタイトルを「-」(ハイフン)を入れた「in – coherence」としました。
 
 普段は意識して使うこともない記号である「-」(ハイフン)は、どんな言葉よりも彼女の思いを表現しています。
 

「理路整然としていること、正しいこと」

 ものづくりにおいてそれは何を意味するのか自分なりの真実と向き合って製作されたコレクションで、偉大なる先人や自身の生き方に影響を与えた人たちへの敬意を込めてその名が付けられたアイテムが放つ魅力は、生地、デザインと構造、縫製仕様そして染色といったプロセスの複雑な関わりが生み出しており、それらの裏に潜むコンセプトや物語に起因しています。

 ブランド独自のパターンワークや縫製仕様のベースはそのままに着実に進化を続ける handwoven fabricや英国の伝統生地を全く新しい次元に引き上げる Isabella Stefanelli のクラフトワークとなっております。
オリジナルハンドウーブンと英国の歴史ある機屋のオリジナル生地のコレクション。

 オリジナルハンドウーブンは4種類の生地が存在します。
Snake、Woodpecker、Owl、 in-coherence と名付けられた4種類の手機生地は、コレクションのテーマやブランドのアイデンティティとも密接に関わっています。

 今回のシーズンから彼女は自身のアトリエに小さな織機を入れ、いつも以上に時間をかける事ができた生地のため、非常に自由度の高いテクニカルな生地となっています。

 技術的には共通のたて糸(リネン、ヘンプ)に対して、横糸に(シルク、コットン、リネン)を通すのですが、その糸の選定や織構造の変化、打ち込みの強さによってバリエーション豊かな柄の生地を表現しています。これはコンセプトの部分でも触れた表裏をイメージする2面性やそれらの多様性を表現しており、織物の無限の組み合わせで表現されるテクスチャをSnake(蛇の皮膚)やWoodpecker(キツツキが突いた木肌)、Owl(フクロウの体毛)in-coherence(それらが全て含んでいる)に見立ててつけられた名前は人物を隠喩する際に用いられる動物を用いることで物語に結びつけています。


明日5/19 はインタビュー記事をお届けします。
楽しみにお待ちください。

CONTACT