服ヲ掘ル ×CATHEDRAL別注

今回のイベントでFUKUBORIへ別注を依頼したアイテムに関してご紹介します。
2025.2月、岡山県児島へ、今回のイベントと進行中のデニムパンツの打ち合わせのために行って来ました。



児島はもともと瀬戸内海に近く、温暖で乾燥した気候が繊維生産に適していたこともあり、
江戸時代末期より綿産業が盛んに、それから明治時代より洋服の需要が高まり縫製工場が建設されはじめました。
「学生服の街」と呼ばれ、ピーク時には1000〜1500社もの関連企業が存在していました。
今でも生地の生産から、パターン・縫製までを児島内だけで完結させられる強みがあります。
Pattern Labo.にて河原さんより紹介して頂いた、今回展示するフライトジャケットのラインナップの中で一際異彩を放っていたのが、この解体途中の『日本軍フライトジャケット 』。





第二種航空被服または九八式飛行服とも呼ばれていました。(この頃の日本では皇紀の下二桁をロットナンバーにしていたみたいです。)
元々はつなぎとして開発されていたモデルを脱ぎ着しやすいように1938年に上下別にモデルチェンジされました。
これらの飛行服は航空廠と陸軍被服本廠という、陸軍の被服に関する兵站を担う管轄によって開発・生産・保管・配給が行われ。陸軍被服本廠は東京の本廠以外にも大阪・広島・札幌・仙台・名古屋・福岡などにも支廠が置かれました。
当時の日本はまだ画一的な洋服の生産のシステムが整っておらず、陸軍被服本廠によって中央統括型の官営工場のシステム以外にも、日本における洋服の生産に関する基礎(工業用パターンや仕様書の概念・兵士の体型の統計を基にした画一的なサイズ展開や限られた資源の中でその配分を効率的にやりくりする方法・各分野の技術士官を教育する機関等)の発展に大きく寄与しました。
まさにこの時代に国内の生産背景の基礎は生まれました。

九八式飛行服は、やや短丈でAラインで裾が広がるのシルエットや、袖の傾斜のスタート位置が低く、ゆったりした印象でありながらも、狭い機体の中で可動しやすように設計された肩周りや脇下には端正な印象がある、絶妙な緩急の取れた型紙になっています。





そして飛行服であることから風の侵入を防ぐことに重きをおいたデザイン思想になっています。
襟裏ののチンストと台襟に付属したボタンを止めることで完璧に首元を守り、
広いうち合いの見頃と比翼仕立ては腹部への風のシャットアウトします。

フロントにはD型の大きなポケットが配置され、この位置に横向きの入り口で配置された理由は、
当時搭乗員がハーネスを着用していてもポケットに手を入れやすいように設計されています。
現代であればバックパックの下に着用する際に使いやすい仕様です
また、袖口のマチは大きく取られて、グローブも着用しやすい口径に調節することが可能です。

そして、腰部分には当時を色濃く表す、軍刀を差し込むディテールが配置されています。

縫代の処理の仕方は、大量生産されていた軍服とは思えないほど生地端を見せない、丁寧な処理の仕方になっています。
生地端の処理の仕方から当時日本にとって航空兵がどれほど特別な存在であり、日本にとっての希望であったかが推察できます。

また、今回別注ではベンタイルミリクスを選定しました、
優れた防風性と撥水性を持ちながらも、ヌバックレザーのような微起毛感があり、使い込む毎に生地がしなやかになり、強いテンションで縫い込まれた箇所や裾や袖など摩擦が起きやすい箇所は、表面が削れて独特な光沢が出てくるのが特徴です。
レザーの様な経年変化を楽しめる化繊素材という非常に珍しい素材です。


こちらは同生地が使用されているTEN −Cのアノラックパーカの参考画像です。
15年近く使いこまれてます。
防風性が非常に高いので、都市生活だったら中にインナーダウンやフリースを着てしまえば、1・2月も乗り越えられてしまう生地感です。
また、今回はBLACK以外にもARMY GREENも選べます。










- SIZE / 1.2.3
(167cm55kgでサイズ1がジャスト・176cm65kgでサイズ2がジャストな着心地です。) - ¥148,500 in tax
日程 5/23(金) 5/24(土) 5/25(日)5/26(月)4days受注受付
23(夕方〜)・24・25日はパタンナーの河原氏も在店しております。
時間 12:00-20:00
ご予約は必要ありません。(イベント中は営業時間外も誰かスタッフいるので、お時間が合わない方はお気軽にご連絡ください。)
5/23(金)20:00から河原氏とインスタLIVEを行います。是非ご覧ください。
完全に有料コンテンツレベルの展示と初となるプロダクトの受注販売。展示を見に来られるだけでも大歓迎です。
- 納期は約11月頃の仕上がりとなります。
- オーダー時に販売価格の30%〜の前受金を頂きます。納品時に残金をお願い致します。
- パーソナルなオーダーの為キャンセルはお受け出来ません。
- スペースの関係上標本の展示は3モデル程度を予定しております。
- 受注終了は5/23(金)12:00スタートを予定しております。